ご質問:
弊社では、事務所の家賃や会計ソフトのライセンス費用を1年分前払いをしています。
支払時に経費(費用)として記帳・計上していますが、法人税確定申告の際には税務調整が必要でしょうか?
回答:
はい、原則的には税務調整が必要です。
ただし、特例が適用できる場合には経費(費用)としたままでも問題ございません。
以下の原則処理と特例処理をご確認ください。
家賃やライセンス費用は、原則として支払時の費用にはできず、サービスの提供を受けた月に費用計上をします。そのため、1年分の前払のうち、翌期にサービスの提供を受ける分は「前払費用」として税務調整が必要です。
以下①~⑤の要件を満たす場合、短期前払費用として支払時に損金算入できます。短期前払費用の場合は、現在の会計処理のまま税務調整は不要です。
① 支払った日から1年以内にサービスの提供を受けること
② 次回以降も継続的に支払時に費用計上をすること
③ 契約に基づいて、等質等量のサービスであること
④ 支払いをその期中に完了すること
⑤ 収益計上と対応させる取引ではないこと
(前提)
2023/5/1:(借方)地代家賃 1,200,000(貸方)未払費用 1,200,000
2023/6/30:(借方)未払費用 1,200,000(貸方)現金預金 1,200,000
(考え方)
支払日より1年以内、かつ、家賃という継続的な支払かつ等量等質のサービスの提供であり、2023年度中に支払を完了させているため、短期前払費用の特例を適用でき、2023年度中に損金算入できる。
以下の図表で考えると、原則的には(3月決算であるため)2024年4月分の100,000円が前払費用として税務調整の対象となりますが、短期前払費用の特例を適用して税務調整が不要となります。
(図表)